かみのけ タカユキオバナ
子供の頃、近所にひとつ年上のお姉さんがいてよくままごと遊びに誘われた。ある時、お姉さんはひとりで泥団子を作っていた。差しだす度にその手の平から泥団子は消えてしまう。お姉さんは、にっこり笑って「もういっこ食べる?」泥を手の平で転がしながら見えない誰かに話しかけていた。
見てきたことを祖父に話すと「昔はな、草や木もみんな言葉を話したそうだよ。神様は、自ら創った者達に耳を傾けられた。ところがな、その言葉使いがあまりにおぞましかったんだ。恥じ入った神様は『石の油になれ』と叫んで地中に閉じこめてしまった。闇の者達となった石油は長い長い反省の末にな、何とか皆様のお役に立ちたいと思うようになったんだよ。自らを燃やし、身体を光に変えてな、天上がっていくんだよ」石油を使いきった後、そこに閉じこめられるのは、僕達なのだろうか。祖父の目線の先に広がる大空は悲しいくらい青かった。
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