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 跡

宮川 崇

 日常的にありふれた行為をする時には、その行為の事を深く考えることなく、いわば無意識的に行ってしまいます。しかしその時にも五感は知覚を続けていて、意識に上らない膨大な知覚情報が無意識を満たしているはずです。
 私はありふれた行為の物理的感覚を噛みしめ、改めて驚きそれを意識する時、幸福感を感じます。五感は驚異的な能力で私達の生を支えてくれていて、無意識的感覚が意識に上ってくる時、己の実在に対する確信をつかむのです。それは喜びに他なりません。
 自分の名前を書く事は社会的な手続きの場面においてよくあることです。しかし実際に起っていることはどこまでも物理的な現象であるはずです。その現象がいかに繊細で複雑で力強いものか私は知りませんでした。しかし私達はそれをもっと知るべき、感じるべきだと思うのです。

 

 

 

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