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 CORO

鏡 閑

 何となく夜が明るいような気がして興醒めしている。街灯の多さや月明かりのせいだけではないような気がする。もしや、闇が薄まったのではないかと勘違いしそうになる。
 少年の頃、夜の帳が降りると妙な期待感で心が踊った。闇に紛れて解放感に浸りながら仲間達と集ったのだ。闇が深ければ深い程、仲間達との語らいは、不合理なもの、不可思議なものの核心へのめり込んでいった。漆黒の闇の底で澱んでいる未だ出現されていないものが放つかすかな響きを手掛かりに、取り留めのない会話を楽しんでいた。
 私が興醒めしている夜の闇は、あの頃、見つめた闇の底の何かが出現したことで輝き始めたとは思えない。私の意識の外にある予期せぬ何かが発光しているような気がする。恐らく、真の闇には測り知れない未出現が混沌としており、意識あるモノがその一つを釣り上げ、ある光として出現させているのかも知れない。

 

 

 

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