SPACE-U

 桜夢貝

ほか

 思いが叶う空に描いた万能の国へ、子供は自我を形成する旅に出る。現での出来事や知識を手に、向こう側を自由に駆け巡る、冒険に悪者退治に国造りに。しかし、こちら側の物事や自分をそこへ持ち込むほどに、空の国は地へ落ちていく。
 内に強まる自身の現と、外に高まる実の圧力が、空の主ー自我を地へ下ろし、夢遊の旅は終わりを告げる。
 こちら側での長旅は、地に挫ける痛みに耐え、自我を養ってくれた空を仰ぎ、失われた国のカケラを拾う、重い足を運び途半ばに倒れるまで。カケラをつなぐ夢に、子供達が小さき国を浮かべられるように。
 自分を浮かそうと、万能の幻を地へ降ろし、地を分割し囲い、集団だの国家だの理想だのに現をぬかしてはならない。その大国は、地を荒らし、あなた自身を見失わせ、子供を殺すかもしれないから。
 大国はいずれ滅びる、空の小国こそ空に在って継がれゆく。

 

 

 

意識のページへもどる  このページの先頭へ

SPACE-U HOMEへ

このホームページに関するご意見ご要望はこちら