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 日花

平山 弘美

 ある日、猫がいなくなってしまいました。少女は原っぱや材木置き場を、猫の名前を呼びながら探しましたが、見つかりません。すると、少女の背丈以上ある雑草が生い茂る森の方から、猫の声がした様な気がしました。少女は暫くジッと森を見つめていましたが、意を決した様に中に入っていきました。森の中は、思ったより明るいのでホッとしましたが、手足は枝やトゲで引っ掻き傷だらけ。頭や顔は蜘蛛の巣だらけで少女は、だんだんと腹が立ってきました。その時目にとびこんできたのは、スッと咲いた一輪の黄色い花。その瞬間何故か少女は、そこから一目散に走り出していました。どうしてなのか…わかりません。
 数日後、猫は痩せ細った体で「ニャー」と帰ってきました。

 青く晴れた空の下、少女はその花の「まことの名前」を知りました。

 

 

 

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