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 ひみかみかろぎ        

江尻 潔

意識は相矛盾するものを統合するはたらきをもつ。私たちの日常はその都度様々な局面を呈し流れてゆく。喜怒哀楽、愛憎がうずまき、ときに神のようにも鬼のようにもなる。どちらとも真実であり、自分の心であることにかわりはない。ひとつの局面から正反対の別の局面に気持が移行したとしても同じ自分であると認識できるのは矛盾を統合する意識がはたらいているからだ。このように心は複雑にできている。複雑で矛盾をかかえているからこそ前進しうる。千編一律の単一波調では進歩がない。右足と左足が矛盾ししかも統合されているから歩み出せるのである。同様に異なる感情、思念は前進をもたらす。ただし一方にとらわれることなくうまく統合しえた場合にのみにかぎる。一方に傾くと災いをなす。いかにひとつのものに固執せず自在に変換していくか。これこそほかならぬ意識のはたらきなのだ。これを称して知恵という。知恵がはたらけば戦争はなくなる。火と氷を重ね霊を燃やせ。

 

 

 

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