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『PET』 椎屋 功
 缶は蹴られ転がり、カンカラ音をあげ拾われもする。ペットボトルは軽く薄く、ペコポコ鳴いても捨てられるだけ。
 たとえ潰れても、印された形相が表面にこびりついたままの缶と違い、PETは空になればペラッと身を包んでいた装いを脱がされ、何者であったか知れない裸に。
 子供の遊び相手もした昔、思いを込めた展示に出されもした日、滅びの顔を見せ朽ち果てる時、缶は「ほかのもの」になった。それにひきかえPETは、生まれつきの性格で中身が見透かされ、用が済めばあっさり興味を失くされ、思いを容れる未練のカケラもない。同じ役を担う兄弟として、再生を急ぐPETに「ほかのところ」を得させ、別の界を見てほしい。PETにも使い道を外れた旅がある、と。
 椎屋君はいつからか、PETの祈念写真を撮るようになって、今回は木術の界へ。そこはこれまで行ったあちこちと異なる特別な時空。さて、そこでPETは何になれたのだろう。

 

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