『U』『MU』 岩沢 淳
桜の木を正面より見ると「U」のキャプションが見えるよ
うに設置した。裏側に回ると、一脚の丸椅子があり、その上
に同円の鏡を置いた。鏡には桜の葉が映りこんでいる。椅子
の上に誰かが座ることを想定して置いたものである。座れば、
桜の葉は消え、座った人間が浮かび上がる。向かい合う人間
と桜の木、それぞれに「U」(椅子)・「MU」(桜の木)と名を
持たせる。向かい合うものたちの無言の対話が始まる。ふた
つの言葉が、重なり合えば「U MU」(うむ…有無…産む・
・)を連想させる。
光に照らされ 鏡の中を行き来する 放浪者たちよ
「なぜ ここに くる」
めのまえの おまえ
うちにすむ おまえ
変わらぬ景色が 無言の歩みを 語る
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