SPACE-U

『視』 天田 政浩

 風を視るのが私は好きです。空気は動いて風となり、その向きを変化させます。物にぶつかり渦を巻き、温度の違う風が交ざり合い、複雑に絡みながら流れてゆきます。目には見えない動きですが、草や木の葉が揺れるのは見えますし、風は直接肌で感じる事が出来ます。草原や川辺、林の中や山の頂に立った時、私は自分の全ての感覚を使い風を感じようとします。そんな時、上昇気流に乗って天高く舞い上がって行く鳥を見つけると、私はそれが小さな点になって目で追えなくなるまで見つめています。 
 木術界では、風をテーマにした表現を多く行ってきました。桜の木もきっと風を感じているであろうと思い、その体験を木と人間が共有出来る表現であれば、両者の対話も可能になるのではないかと考えています。自然とは直接言葉を交わす事が出来ないので、何かそれに替わる意識の交感の方法をこれからも見つけていきたいと思っています。

 

木術界のページへもどる  このページの先頭へ

SPACE-U HOMEへ

このホームページに関するご意見ご要望はこちら