福本 浩子展
2006年5月14日(日)〜5月27日(土)
12:00〜22:00
※ 最終日に懇親会有り(有料 詳細お問い合わせ下さい)
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el Libro de Arena―砂の本・円環―
el Libro de Arenaとは、ホルヘ=ルイス=ボルヘスの短編小説、短編小説集「砂の
本」からの引用である。
砂の本とは、無限のページを持つ、一冊の本のことであり、同じページを二度見る
ことは決してないという。その本は、始めもなければ終わりもないことから「砂の
本」と呼ばれるようになったというのだが、一般的にも砂は無量・無数のメタファー
である。
ボルヘスはまた、「円盤」という作品の中で、片面しか持たない、オーディンの円
盤という、モノを描いた。ボルヘスは、「円盤」と「砂の本」について、これらを
「ふたつの、逆の不可知の物体」と述べている。
私は、この作品を、<円環を描く書>のイメージで制作した。
作品には、実際の本を用い、それを砂利のように加工して、床に円環を描くように並
べた。そのことによって、本という「モノ」が、新たな「モノ」へと変えられること
になり、本というメディアが、新たな「情報」を持ち始める。
「情報」は、ただ観念的なものにとどまらず、具体的なかたちや質感・量感を持
つ、「モノ」としても存在している。「本」という情報媒体を、モノとして変化させ
ることによって、その考えがより具体的になる。そして、この「場」において、それ
をより明確に表したいというのが、私の考えである。
さらに、円環は、無限の象徴にふさわしい。
ひとつの「モノ」からも、人は無限の「情報」を読み取ることが出来る。
有限の「モノ」と、無限の「情報」。それらがどう関わっていくかを、この作品を通
じて、読み解いていただければ幸いである。
福本 浩子
2006/5 SPACE-U
展示
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福本 浩子 Hiroko Fukumoto
marufuku@mbox.kyoto-inet.or.jp
http://web.kyoto-inet.or.jp/people/marufuku/
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