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「あさりの墓」
はとり英夫
「あさりの墓」は、「螢の墓」のパロディーか、あさりのみそ汁を飲んで佐久間ドロップの缶の中にあさりの貝殻を入れ、振って音を聞く、残りは骨壺擬きの水玉の中へ。
日常をギャラリーに持ち込むことは、五感をより注意深く澄ますにはよいかも知れない。設置されているもの全体を見ることから、あさりのカップを手に取りふたを開け触れることへ、お湯を注いでもらい、みそ汁の香りを嗅ぐことへ、それを飲み味わうことへ、缶にあさりの貝殻を入れ、振って音を聞くことへと五感が行きつ戻りつしながら意識することと無意識の双方から記憶の引き出しのあちこちを刺激して目の前で繰り広げられていることとは全く関係のないイメージを発生させたりもするようだ。はとりのように語彙の多い作家にみられることは、例えば、貝から買い、懐、絵、界、回・・・と
語彙シフトによって作品を制作するようなところがある。日常会話でこれを持ち込むと文脈上に、その語彙がないためか違和感を感じさせるのだが、作品においては効果となりうる。無意識上の語彙の発光をいかに文脈づけるかも、表現の重要な方法といえよう。

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